パニック障害

パニック障害の症状

パニック障害は、突然の強い不安や恐怖が起こる症状です。この症状は、特に理由がわからないときに発生することが多く、気持ちが非常に不安定になります。以下のような症状が現れることがあります。

  1. 急に強い不安や恐怖を感じる: 普段は平気だったことでも、急に強い恐怖を感じることがあります。

  2. 心臓がドキドキする、または激しく動悸を感じる: 恐怖を感じると、心臓が速く打つことがあります。

  3. 息ができにくく感じる、または息苦しさを感じる: 呼吸が浅くなったり、息が詰まるように感じることがあります。

  4. 手足が震える: 不安が強くなると、手や足が震えることがあります。

  5. 胸が痛い、または不快感を感じる: 胸のあたりに圧迫感や痛みを感じることがあり、これが心臓の問題だと思ってしまうこともあります。

  6. 気分がめまいを感じる、または倒れそうになる: 不安が強くなると、ふらついたり倒れそうになる感覚が現れることがあります。

  7. 現実感が薄れる、または自分が自分でないように感じる: 不安や恐怖のために、周りの状況が現実感を失ってしまうこともあります。

パニック障害は、これらの症状が急に現れるため、患者さんは「このまま死ぬのではないか」と恐れることがあります。しかし、実際には命に関わることではなく、これらの症状は治療を受けることで和らげることができます。

パニック障害(病院での治療法)

パニック障害の治療方法は、症状の程度や個人の状態に応じて、さまざまなアプローチが取られます。病院では以下のような治療方法が一般的です。

1. 認知行動療法(CBT)

認知行動療法は、パニック障害の治療に非常に効果的とされています。これは、パニック発作を引き起こすような考え方(例えば「心臓がドキドキしているから死んでしまうのではないか?」)を見直し、現実的で適切な考え方に変える手法です。

  • 暴露療法:恐怖を引き起こす状況に少しずつ慣れていく方法で、パニック発作のトリガーとなる状況に安全な環境で繰り返し触れることによって、不安が和らいでいきます。

2. 薬物療法

薬物を使って症状を緩和することもあります。主に以下の種類の薬が処方されます。

  • 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系):パニック発作が急に起こった場合に、短期間の使用で発作を抑える薬です。ただし、依存性があるため長期間の使用は避けることが推奨されます。

  • 抗うつ薬(SSRIやSNRI):パニック障害に伴う不安症状や抑うつ状態を和らげるために使われる薬です。これらは長期的に使用することで、発作の頻度や強度を減らす効果があります。

3. 心理教育とサポート

パニック障害についての知識を深めることも治療の一部です。医師やカウンセラーが、発作のメカニズムや、どうして不安が強くなるのかを説明し、患者が自分の症状を理解できるようにサポートします。

  • リラクゼーション法:深呼吸や筋弛緩法(リラクゼーション法)を取り入れて、身体的な緊張をほぐし、リラックス状態を作る方法です。発作が起こりそうになった時にこれを試すと、症状が軽減することがあります。

4. ライフスタイルの改善

生活習慣を見直すことも、治療に役立ちます。特に、睡眠の質を改善したり、過度なカフェインやアルコールの摂取を避けたりすることが勧められます。また、定期的な運動やストレス管理も症状を軽減するために役立ちます。

5. 支持的カウンセリング

発作が起こるたびに患者は不安に感じ、自己評価が低くなることがあります。支持的カウンセリングでは、患者が自信を取り戻し、精神的なサポートを得ることができます。

漢方的な考えと治療方法

漢方医学では、パニック障害や不安症などの精神的な症状も、身体全体のバランスやエネルギーの流れ(気、血、津液)が乱れることから来ていると考えます。つまり、心と体が密接に関連しており、精神的な症状は身体の不調やエネルギーの滞りによって引き起こされるとされます。以下は、漢方的な考え方と治療方法について説明します。

漢方的な考え方

  1. 気(き)の不調 漢方では、身体と心のエネルギー「気」が全身を巡ると考えます。この気の流れが滞ったり、弱くなったりすると、精神的な不安や緊張、パニック発作などが引き起こされることがあります。特に、**気の虚弱(エネルギー不足)や気の滞り(流れの停滞)**が、心に不安や恐怖を引き起こす原因となるとされています。

  2. 血(けつ)の不足 漢方では、精神の安定に血液が重要な役割を果たしていると考えられています。血が不足すると、精神的に不安定になったり、感情が高ぶりやすくなったりします。血が不足すると、心が落ち着かず、神経が過敏になり、パニック障害を引き起こす可能性があります。

  3. 肝(かん)の影響 漢方では、肝臓の働きが「気の流れ」を調整し、ストレスに対する反応に大きな影響を与えると考えます。肝の「気」の滞りが起きると、精神的な緊張やイライラ、怒りや不安が高まりやすく、これがパニック障害の原因となることがあります。

  4. 心(しん)の不調 漢方では「心」が精神活動を司るとされ、心が不安定になると、精神的な不調(不安、パニック、抑うつなど)を引き起こします。心の血や気が不足すると、心が落ち着かず、感情がコントロールできなくなることがあります。

漢方的な治療方法

  1. 薬草を使用した処方 漢方では、個々の症状に合わせた薬草を使って、心と体のバランスを整えます。以下のような薬草が用いられることがあります。

    • 加味逍遙散(かみしょうようさん):肝の気を調整し、ストレスや不安を軽減するために使われる処方です。女性のホルモンバランスの調整にも役立つとされています。

    • 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):不安感や緊張を和らげ、精神的な安定を促進するために使われることがあります。特に心の動揺や焦燥感を抑える効果が期待できます。

    • 天王補心丹(てんのうほしんたん):心を落ち着け、精神的な不安や不眠を改善するために用いられます。心の血や気を補い、精神的な安定を取り戻す効果があります。

  2. 鍼灸治療 鍼灸は、身体の経絡に鍼を刺して気の流れを改善し、心身のバランスを整える治療法です。パニック障害や不安症に対しても、リラックス効果気の流れを整える効果が期待でき、症状を和らげることができます。

  3. 食事療法 漢方では、食事が健康に大きな影響を与えるとされています。不安やパニック障害がある場合、血や気を補う食材を積極的に取り入れることが勧められます。例えば、黒豆、ナツメ、山芋、きのこ類などは、気や血を補うとされ、精神的な安定に役立ちます。

  4. 生活習慣の改善 漢方では、日常の生活習慣が心と体に深く関わっていると考えます。十分な睡眠をとることや、リラックスした時間を過ごすことが、漢方的な治療の一環として推奨されます。過度のストレスや不規則な生活は、気や血の乱れを引き起こし、症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。


漢方治療のポイント

  • 個別の体質や症状に合わせた治療:漢方治療は、その人の体質や症状に合わせて、処方や治療方法を調整することが重要です。専門の漢方医と相談しながら、自分に合った治療を受けることが大切です。

  • 予防的なアプローチ:漢方では、病気の予防や再発防止を重視します。パニック障害の症状が緩和した後も、体質改善や心身のバランスを保つためのアプローチが大切です。

漢方医学は、体全体の調和を取り戻すことで、精神的な問題にもアプローチし、根本的な改善を目指すことができます。症状に合わせた治療を行うことで、パニック障害の症状が軽減することがあります


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